PostGISのインストール
PostGISをインストールしてみたので手順をメモしておく。
PostGISの本体はLinuxでサーバとして動かし、Windows PCをクライアントとしてGUIベースの各種GISアプリケーションはWindows PCで利用することを想定してシステムを構築した。
今回、サーバとして利用するPCのLinuxには私のお気に入りのUbuntuを利用したが、基本的には他のLinuxでもほぼ同様の手順で大丈夫かと思う。(Debian系とRedhat系などの違いで一部のコマンドは違うが。)私がUbuntuを気に入っているのは、LTS(長期サポート版)があり長い期間安定して使えることと、Linux上のアプリケーションが整理されて豊富に利用できるからだ。(GUIの良さもあるが、今回はサーバ版を利用するのでGUIは関係ない。)
さて、もう3ヵ月程で最新のLTS版がリリースされるようだが、今回は(LTSではないが)現時点での最新版のUbuntu 9.10 Serverを使った。後述するが、Linuxのバージョンにより利用できるPostreSQLとPostGISのバージョンも微妙に異なってくるので、ベースとなるLinuxに合わせてPostgreSQL/PostGISのバージョンを選定する必要がある。
PostGISは、これ自身はアプリケーションというよりは、PostgreSQLの拡張機能アドインというイメージに近い。PostgreSQLは有名なオープンソースのリレーショナルデータベースだが、PostGISはPostgreSQLに対してGISに向いたデータ定義や関数を提供している。Linuxとしてのコマンドも2つ程含まれるが、多くはPostgreSQLの組み込み関数(およびそれから呼び出される外部ライブラリ)から構成されている。従って、PostGISの本体はPostgreSQLそのものであり、先ずはPostgreSQLをインストールしなければならない。
PostgreSQLもPostGISも、Linuxのディストリビューションのパッケージとして既にコンパイルされた状態のものをインストールする方法と、オープンソースのソースコードをダウンロードして、それをコンパイルして使う方法がある。一長一短であり、前者はインストールが簡単で確実に動作することができるが最新のバージョンが使えない場合がある。後者は最新のバージョンを利用できる半面、コンパイルなどの作業が必要であり、場合によってはハマってしまうことがある。Windows側のGUIアプリケーション(GISツール)が特定のバージョンのPostgreSQLやPostGISにしか対応していない場合は、Linux側のGISサーバもそれに合わせてバージョンを選択する必要があり、場合によってはソースからコンパイルする必要性が出てくる。
PostGISを利用できるようにするまでの大まかな手順は次のようになる。
- PostgreSQL/PostGISのインストール(パッケージ版)
- PostgreSQL/PostGISのインストール(オープンソース版)
- PostGIS用データベースの作成(テンプレート・データベースの作成を含む)
- PostGISの利用
この内、“PostgreSQL/PostGISのインストール”は標準パッケージからのインストールと、オープンソースからのインストールに分けて紹介する。まずは、標準パッケージを利用してインストールする方法、次にオープンソースからコンパイルする方法という順序で紹介する。ただし、PostgreSQL、PostGISとも先週から初めて使い始めたので、まだ不慣れであり、不的確なオペレーション(とくにデータベース関連のオペレーション)があるかも知れないことを予め断わっておく。
なお、Ubuntu 9.10 Serverの標準パッケージとしてインストールできるPostgreSQLは8.4、PostGISは1.3.5である。(現時点での最新LTSであるUbuntu 8.04 LTSでは、PostgreSQLは8.3、PostGISは1.2.1である。)オープンソースの最新版は今日の時点ではPostgreSQLは8.4.2、PostGISは1.4.1である。
以下の作業は、先ずroot権限で行うので任意のユーザでログインした後、“sudo -s”でroot権限を得た状態で作業を始める。
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