IBM 5100

閑話。

昔、IBM 5100というポータブル・コンピュータを使ったことがあった。どこで使ったのか覚えてないのだが、APLで簡単なプログラムを入力して遊んだ記憶がある。

コンピュータオタクの私にもAPLは取っ付き難い言語だった。というか、普通のコンピュータでは扱えない言語だ。何故なら特殊な記号を使う。例えば(漢字ではなくて)△、▽、「、∈、等々である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/APL
だから、普通のASCIIキーボードのコンピュータでは“そのままでは”使えない。メタ文字を使って、特殊記号の代わりとなる文字列を使う(つまり、スケープ文字+通常のアルファベット文字)処理系もあり、メインフレームなどでは利用できた。私もAPLを使ってみたくてメインフレームで四苦八苦しながらプログラムを組んでみた経験があるが、やはりイケてない。APLを本格的に使うにはAPLキーボードを持ったコンピュータでないと面白くない。で、暫く諦めていたのだけど、どこかの会社(IBM?)に行った時だったか記憶が定かではないのだが、IBM 1500を使った。

私が使ってきたプログラム言語のなかではAPLはかなり特殊だった。一般的な言語ではループ構造を使うベクトルや配列の計算を数文字で表現することができる。ただ、なかなか慣れるのが大変だ。私も入門書にあるサンプル+α程度のプログラムしか組んだことがないので、“使った”とは言えないが。(ちなみに私的に第2位はProlog。毎度の“通産省の物にならないプロジェクト”で採用された言語だが、言語自身は面白かった。第五世代とかは余り興味がなかったが。)

また、ハードウェアとしても面白いのは、ミニコン並みの性能をもったものが“ポータブル”で作られていたことだ。キーボード、(とても小さな)ディスプレ、テープドライブが一体になっていた。当時としては最新テクノロジの結晶だったのだろう。ただ、“ボータブル”と言っても、“移動可能”という程度の意味で、その大きさと重さから“持ち運ぶ”気にはならない。勿論、電源はコンセントから取るので、電源のある場所でなければ利用できない。今のノートPCとは全く異なる。

更に、アーキテクチャがマイクロコードを基本としているので、他のコンピュータをエミュレートできる点もすごい。実際にIBM System/370とSystem/3をエミュレートして動いていたらしい。

なんか、最近のコンピュータって、こういった思い切った発想のものが少なくなって来たような気がする。iPhoneがクールかと言えば確かにクールだが、クレイジーではないよな。昔と違って、今は売れるか売れないか分からないものにはお金を掛けられない、というご時世なのかも知れない。2000年の.comバブルの辺りから株主至上主義が定着してしまったせいかも。VMwareも株式公開するまではVMware Serverといった実験的製品を出していたが、株式公開した途端に実質上無くなってしまった。