マルチタッチの特許

閑話。

先週、Appleにマルチタッチの特許が下りた。AppleファンのページやつぶやきではAndroidは終わったと狂喜乱舞の様相だ。でも、本当にそうなるのだろうか。

私は、今回の特許取得は確かにAppleにとって大きなアドバンテージだと考える。しかし、これは“一本”ではなく“技あり”程度のものではないだろうか。実際のビジネスを考えれば、携帯端末という製品を具現化するにはApple自身も他社の特許を必要とするところも多い。携帯端末の分野では競合しても、別の分野では依存しているケースもあるだろう。そうなると特許のクロスライセンスという形なってゆくのではないだろうか。

また、Appleが基本的な特許を出願中であることは以前から報道されていた。それを承知で多くの一流メーカーが後先を考えずにAndroidを採用してきたとは思えない。当然、特許を取得した場合の対応策も考えた上で採用してきただろう。でなければAndroidなど使えない。既に多くのユーザを抱えるキャリアやメーカーが「我社は今日でAndroid製品は止めます」とは言えない。無効申請を出す企業も出てくるだろう。

歴史的に見てもIBMXeroxなどは多くの基本特許を持ちながらも、それに対抗する競合企業があり、それら競合も市場の拡大と共に成長してきている。それにこの場合、Apple対その他企業の連合体、という構図になっているのも面白い。

まぁ、私としてはAndroidでもiOSでもどちらでも構わない派だし、別に製品を製造・販売している訳ではないのでAndroidでも構わない。

一つ言えるのは、この特許によって(他社の動向は別として)Apple自身は更に業績向上が見込めるようになったことだろう。しかし、今のところ株価の動きは冷静だ。