ライブDVD用の雛型Linuxをクリーンインストールする
まず、2台目のHDDにライブDVDための雛型Linuxをインストールする(1台目のHDDは作業用のOSをインストールするために残しておく。)
インストールにおけるポイントは、以下のとおり。
- 出来る限りデフォルト(標準値)でインストールする。標準構成で余計な設定を避けるのは、ライブDVDをインストールDVDとして利用する際、ここでのOSの構成や設定がHDDにインストールされたOSにも引き継がれるため。例えば、パスワード無しでsudoができるように設定してしまうと、HDDにインストールしたOSでもパスワード無しでsudoできる様になってしまう。もっとも、これを利用してHDDにインストール時に設定済みのインストールCDを作成することができる。ただ、今回はHDDにインストールした時に標準の設定になっているようにする。(サーバ機能付きライブDVDとして使う場合は、起動した時点で幾つかの設定が済んでいなければならないが、その設定は雛型Linuxに対して行うのではなく、“casper”というシステムに手を加えることで実現する。)
- パーティションの設定はマニュアルで行いsdbにプライマリとしてパーティションを1つ設定する。(論理ボリュームでも出来るとは思うが、後でファイルシステムをマウントするのでプライマリパーティションとしておいた方が作業が楽になる。)また、ルートファイルシステム(/)1つだけの構成で、/bootや/homeのパーティションは作成しない。なお、1つめのパーティション(1台目のHDD)に関しては何もしない(どこにもマウントしない)。
- swapパーティションは設けない。つまり実メモリ上だけで実行することになる。swapパーティションを設けないので、警告メッセージ出るが継続実行する。なお、もし既にswapパーティションが存在するHDDが接続されていると、自動的にそこをswap領域としてしまうため、swapパーティションがあれば一旦、free領域とするかHDDを切り離す。
- ユーザ名は何でも構わないが、ライブCDとの整合性を考えて“ubuntu”にした。なお、インストール中に作成するユーザのuidは“1000”となるが、ライブCDでのubuntuのuidは“999”なので、インストール後に999に変更する。
この条件で通常にインストールする。
■ ubuntuのuid、gidの変更
まず、一回目のブートで ubuntu のuid 、gidを999に変更する。大まかな手順は次の通り。
% sudo -s # vipw # vipw -g # ls -l /home # chown -R 999:999 /home/ubuntu # ls -l /home # reboot
ここではsudoのパスワードを求められるのでインストール時に設定したパスワード(ubuntu)を入力する。
また、chownで /home/ubuntu/.gvfs と言うディレクトリの所有者を変更できないというエラーが発生する。ls -lで確認するとディレクトリの属性がおかしな表示になっている。多分、Ubuntu(もしくはGNOME)のバグと思われる。2回目のブート時にはuid 1000としてアクセスできる様になるので、再度2回目のブートでchownする必要がある。
■ パッケージを更新、追加する
2回目のブートでは、(最初に /home/ubuntu を再度chownを実行しておくのを忘れずに)uid、gidを確認の上、インストールしてあるパッケージを最新版に更新する。
% sudo -s # chown -R ubuntu:ubuntu /home/ubuntu
パッケージの更新は“dist-upgrade”として実行することで、最新版のカーネルを持った雛型Linuxを構築できる。
# apt-get update # apt-get dist-upgrade (console-setup等幾つかのパッケージで質問がでるがデフォルトで(単に“ENTER”を押すだけ)。)
ここでリブートするように促されるので素直にリブート。
■ パッケージの追加と設定
3回目のブートでパッケージの追加と各種設定を行う。
先ずはオリジナルのライブCDからHDDへインストールした際に削られたパッケージ群を“再”インストールしておく。これらのパッケージを追加することで、作成するカスタムDVDでもOSインストールなどの作業が可能となる。パッケージの依存関係から、次の9つのパッケージを追加すれば良い。(但し、Ubuntuのバージョン等に依存するので Uuntu8.10 Desktop 以外では確認が必要。)
% sudo -s # apt-get install ubiquity # apt-get install lupin-casper # apt-get install language-pack-es # apt-get install language-pack-gnome-es # apt-get install language-pack-gnome-xh # apt-get install language-pack-xh # apt-get install gparted # apt-get install jfsutils # apt-get install xfsprogs
後は、保守作業や個人の趣味で必要なパッケージを追加すればいい。今回は次のようなパッケージを追加してみた。これでほぼ Ubuntu Desktop + Ubuntu Server の機能を持ったライブDVDを作ることができる。(保守用“ライブ環境”での使用なのでデータベース関係とメイル関係は省いた。)
% sudo -s # apt-get install apache2 # apt-get install bind9 bind9-doc # apt-get install build-essential # apt-get install ethtool # apt-get install fdutils # apt-get install installation-report # apt-get install kpartx # apt-get install landscape-common # apt-get install lvm2 # apt-get install mdadm # apt-get install mii-diag # apt-get install netcat-openbsd # apt-get install nfs-kernel-server # apt-get install ntp # apt-get install openssh-server # apt-get install php5 # apt-get install samba samba-doc # apt-get install smartmontools # apt-get install smbfs # apt-get install squashfs-tools # apt-get install sysvutils # apt-get install tomcat6 tomcat6-admin # apt-get install ttf-dejavu # apt-get install ubuntu-minimal # apt-get install util-linux-locales # apt-get install winbind
これで従来のライブCDでは扱えなかった論理ボリューム(lvm)やRAIDのHDDも利用できる様になる。また、opensshサーバ等の各種サーバも動かすことができる。ただし、サーバ類の設定(例えば、NFSサーバに対してどのディレクトリを開放するか等)は後で casperの変更のところで行い、ここでは標準設定(インストールしたての状態)として残しておく。
最後に不要なファイルをクリーンアップして、シャットダウンする。
# apt-get autoremove # apt-get clean # mandb
なお、この後、ubuntuアカウントのカスタマイズを好みに応じて行う。例えば端末をメニューバーに登録してクリック1つで起動てきるようにしたり、vino(GNOME版のvncサーバ)でリモートからアクセスできる様にする、などである。ただし、システム全体に渡る設定は避けた方がいいだろう。あくまでも/home/ubuntuのディレクトリの範囲内での環境設定にとどめる。