iSCSIとHDDのベンチマーク

Windows7iSCSIを使ってディスクレスのPCにインストールしてみた。(詳しくは“Windows 7をディスクレスで使う”を参照)。最初はローカルなHDDへインストールした場合と比べて、もっと動作が遅くなるのでは?と思っていたが、動かしてみると殆んど差異は感じられなかった。そこで、簡単なベンチマークデータを比較してみた。

具体的なデータを紹介する前に、利用した環境を紹介しておく。

さて、このようなマシン構成で、Windows7のPCで内臓HDDとiSCSIとで比較した。
先ずは、Windows7の“Windows エクスペリエンス インデックス”で比較してみた。
内蔵HDD:

iSCSI

ご覧のように殆んど変わらない。ディスクの評価はともに“5.9”である。つまり、内臓HDDのSeagate ST3500630NSを使った場合でも、iSCSIでネットワーク経由でHitachi HDT721010SLA360を使った場合も同じ、ということになった。(ただし、iSCSIサーバはHDT721010SLA360を3玉使ってソフトウェアによるRAID-5構成となっている。)

じつは、最初、iSCSIのスコアは5.3と少し低かったのだが、Windows UpdateでギガイーサネットRealtek 8111Cのドライバを更新したろこと5.9まで改善した。

次に、CrystalDiskMarkで比較してみた。
内蔵HDD:

iSCSI

なんとReadに関してはiSCSIの方がかなり良い。iSCSIサーバはRAID-5構成なので、読み出しの性能に関しては向上が期待出来る。また、サーバの主記憶自身が巨大なキャッシュとして作用しているかも知れない。特にNCQの効果を測定している“4K QD32”は43.00と随分良い数値となっている。これはNCQが有効に効いていることを示している。ところがiSCSIサーバに使っているP5K-VMチップセットICH9は、NCQはサポートしていない。論理的なHDDに対してシリンダ位置もセクタ位置も関係ない。実HDDでは不利な配置のデータも論理的には関係ないために高いスコアになったと思われる。

一方で、Writeに関しては大変と悪い結果になっている。これはソフトウェアRAID-5を組んでいるので書き込み時にパリティ計算が発生したりして、オーバーヘッドが大きくなっている為ではないかと思われる。今回はCPUに2コアを使っているが、4コアにすることによって性能向上が図れるのではないかと思っている。

結局、ReadとWriteで性能の良し悪しを相殺して、結果としてWindows エクスペリエンス インデックスでは同じスコアとなっていたのかもしれない。サーバ系のマシンとは違って、デスクワークのPCでは大量の書き込むが発生するケースは少なく、一般的にはRead性能が高い方が全体の性能に対しては良お結果をもたらすので、デスクワーク系のPCにはiSCSIでも十分かも知れない。

厳密には各機能単位ごとにベンチマークして比較しなければ、何が原因で性能の優劣が生じたのかはわからないが、お気軽ベンチマークとしてはこんなところだろう。