中間ダクトファン(FY-18DZ3)の修理

修理までの経緯

ある日、ふと気がつくと換気扇のファンの音が聞こえない。どうもモーターが止まっているようだ。換気扇と言っても壁についているタイプでなく、天井裏に設置されている送風ダクトファンである。スイッチと入れて5分位すると回り出すので、しばらくの期間は放っておいたが、その内、モーターが回り出すと“キュルキュル”と音を出すようになった。いよいよ交換しないといけないな、と思い、天井の点検口を開けてみると次の様なダクトファンがあった。(写真は下から見上げた状態のもの。)

どこを見てもメーカー名も型番もない。仕方ないのでマンションの管理会社に聞いたところメーカーと型番は分かった。松下電器産業のFY-18DZ3。

ところが“松下電器産業のFY-18DZ3”の情報をWebで探してもの中々見つからない。松下グループ自身が再編で大きく組織変更しているせいもある。何とかたどり着いてダクトファン製品は”パナソニック・エコシステムズ”という会社が担当していた。が、Webページで検索しても該当製品が出てこない。“品名・品番検索”で検索すると“該当するデータがありません”。“新旧商品対応”で出てきたが、つまりは既に生産中止品。後継機種は“FY-18DPC1”となっている。早速、製品の図面をダウンロードして調べてみる。おや、何か大きさが違う。そこで、今使っている“FY-18DZ3”の図面を捜す。パナソニックは比較的多くの製品情報をWeb上に公開しているので助かる。“建設ネット”というページで入手できた。

「全然サイズがちがうじゃん!」これって“後継機種”と言えるのだろうか? 問題なのは天井に取り付けるネジの位置が全然違うこと。大きさ自体は天井裏に収まるので良いのだが、マウント位置が異なるのは致命的だ。そこそこ重さもあり(6kg)、モータにより常時振動しているものなので、しっかり固定する必要がある。しかし、固定ネジ穴の位置が異なるので、そのままでは設置できないし、ジグを作ったとしても重さと振動に耐えられるか疑問だ。これは明らかに“後継機種”とは言えない。もし、ちゃんと固定しようとしたら、天井のコンクリートに穴をあけ直して、吊りボルトをつけ直さなければならないので大仕事となる。

仕方ないので、他社メーカーも含めて穴位置が合うものを探してみた。探しまくって三菱電機製のもので何とかなりそうなものがあった。ネジ穴位置が数ミリ違うが、これ位であれば無理やり吊りボトルを曲げれば何とかなりそうだ。

それでは三菱電機製にしようか、と思った時、「ちょっと待て。ダクトファン全体を交換しなくてもモーターだけ交換すれば済むじゃないか。」しかし、製造中止になってから10年近く経つ製品である。部品の法定保存期間も過ぎているので、果たして在庫があるか? それにも増して、業者でもない個人に売ってくれるものだろうか? と言った疑問もあったが、パナソニック・エコシステムズに電話してみると、パナソニック・テクニカルサービスで取り扱っているのでそちらに問い合わせて欲しい、との答えが返ってきた。パナソニック・テクニカルサービスって、いつも洗濯機や冷蔵庫の修理に来るパナソニックのサービス会社だ。で、近くのサービスステーションに電話したら、あっさり受注してしてくれた。1週間程でサービスステーションに部品が届いたので、取りに行った。
モーターは段ボールに入っていた。箱を開けるとモーター(“4極閉鎖型コンデンサー誘導電動機”)本体とコンデンサーが入っていた。
段ボール箱のラベル:

箱の中身:

(袋の中にコンデンサが入っている。)

モーターの取外し

まず、天井の点検口を開け、ネジを4つ外して“蓋”を取り外す。なお、これには柄の長いプラスドライバーが必要である。(以降の作業でも必要となる。)私は15cm長2番ドライバを用意した。
中間用ダクトファンユニット(赤丸はネジ位置):

蓋を空けると埃が“降ってくる”こともあるので注意が必要だ。
中間用ダクトファンユニット内(赤丸はネジ位置):

(写真左側の白いビニールテープは以前、蓋を開けた時に“隙間”を抑えるために貼ったもので、本来の製品には無い。)
後で元通りに配線できるように、結線の様子を写真に撮っておく。

次に、送風ユニット(モーター本体と黒いプラスティックの枠)を外す。6ヶ所ネジを外す。なお、ネジを外すと送風ユニットは落っこちてくるので、ネジを外す順番を良く考え、本体を手で押さえながら作業する。(最後の2つのネジは対角になるように残しておき、どちらのネジも外れる寸前まで緩めておいて、送風ユニットを手で押さえながら一気にネジを外す。)

取り外した送風ユニットはこんな感じである。
送風ユニット(上側)

送風ユニット(下側)

上側から見た黒い部品が“ファン”である。下側から見た金属部品がモーターである。

次に“ファン”を取り外す。モーターの軸にナット締めされているので、スパナでナットを外せば簡単に取り外せる。

次にモーター。送風ユニットに結合しているネジを3ヶ所外す(赤丸はネジ位置)。


古いモーターと新しいモーターを並べてみたところ。

見た目ではそれ程違いが分からないが、古いモーターは軸を指でつまんで回しても、動きが大変シブい。新しいモーターは指2本でくるくる回る。

洗浄・補修

モーターを交換するだけであれば、あとは新しいモーターを取り付けて組み立てればよいのだが、折角なので洗浄と補修をしておく。特にプラスティックの“ファン”や“カバー”には埃がこびり付いているので洗剤で良く洗う。最初は歯ブラシで洗っていたが、なかなか汚れが落ちず、結局は指でこするのが一番効果的だった。

次に、補修。プラスティックのカバーには隙間テープが張られているが、経年劣化がボロボロになっていた。これを新しいものに交換する。とっていも部品を取り寄せているわけでないので、ここは自作する必要がある。(問い合わせてはいないが、この隙間テープだけを取り寄せるのは出来ないのはないかと思う。多分、カバーと一緒になると思う。)

隙間テープは東急ハンズで“エプトシーラST付”という、大きさ200mm×330mm、厚さが3mmの片面が粘着シートになっているスポンジのシート(506円)を買って、これをカバーの隙間テープの大きさに合わせて切る。シートの上にカバーを乗せて鉛筆で罫書いて、ハサミで切れば簡単に作れる。

上手く裁断すれば、200mm×330mmのシート1枚で十分である。(2枚買って来たが、結局1枚は使わなかった。)

カバーに隙間テープを張る際には、古くなって劣化してテープは綺麗に除去しておく必要がある。が、これが随分と大変だ。今回の作業のなかで一番大変だった。リムーバーの様な薬品を使えば良かったのだろうが、私は“指”でそぎ落とした。作業が終えることには指の皮膚が緩み、ちょうど鉄棒でマメが破れる直前のようになってしまった。)

組み立て

さて、十分に水分が乾いたら(乾いた布で良く拭いてから半日位は放置しておいた方がいい)、元通り組み立てる。その際に、コンデンサーも新しいものを使う。コンデンサーも劣化するので一緒に交換すべきだろう。
送風ユニット(上側):

(新しい隙間テープを張り付けてある。)
送風ユニット(下側):

送風ユニットをダクトファン本体に取り付けて終了。

スイッチを入れると、静かな音でモーターが回り出した。