Ubuntu 8.04 DesktopをInspiron 1501にインストールする

先日、Ubuntu 8.04 "β"をInspiron 1501にインストールした内容を書いたが、βの段階でもあり、VMware Server 2.0 β2との相性の確認に主眼をおいたので、かなりラフな内容だった。若干重複する内容だが、Ubutu 8.04 LTSも4月25日に正式リリースになり、再度Inspiron 1501にインストールしたのでまとめておく。
見出し:

インストールする環境

ハードウェア仕様

今回、Ubuntu 8.04 Desktopをインストールするのは(いつものことながら)Dell Inspiron 1501というノートPC。

CPU AMD Turion 64X2 TL-56 1.8GHz
メモリ デュアルチャネルDDR2 1.5GB @ 400MHz
システムチップセット ATI RS485/RS485M/SB600
ビデオコントローラ ATI R485M (Radeon Xpress 1150)
HDD Toshiba MK8034GSX SATA 80GB
ディスプレイ 15.4インチTFT WXGA (1024x800)

CPUやチップセットに関しては特記することはない。Fedora Core 6の頃からカーネルはノーオプションで正常に起動する。(ただ、Inspiron 1501のBIOSがサポートしていない為か8254タイマがIO-APICに接続できないらしい。これは運用上は特に問題なさそうである。)
問題はビデオコントローラのRadeon Xpress 1150だ。Linuxでも最近は標準でサポートされていて、デスクトップPCなどでシングルモニタで使うのであれば題ないだろう。しかし、Inspiron 1501の場合はノートPCなので、本体液晶の他に外部ディスプレも接続して両方を使いたいが、その場合は、ちょっと設定が必要になる。(という使い方なので、外部モニタは本体ディスプレの"クローン"として使う。)

ソフトウェア環境

次の点以外はほぼデフォルトの設定でインストール。

  • デフォルト言語を英語とする
  • パーティションは既存のものを使い、論理ディスク(LVM)は使わない*1

英語をデフォルトとするのは趣味の話しで特に理由はない。英語はどちらかと言えば苦手だが、man pageやコマンドのメッセージなどは日本語で出てくるよりも英語の方がシックリくる。デフォルトは英語で日本語に関しては仮名漢字変換で入力が出来ればいい。もし100%日本語環境が必要な場合はログインのオプションで一時的に変えることができる。
ディスクは次のようなパーティションにしてあり、これをそのまま使った。

Device Start Cyl End Cyl Size File System
/dev/sda1 1 1901 15GB (Extended)
/dev/sda2 1902 8919 56GB /home
/dev/sda3 8920 9719 6.4GB /root3
/dev/sda4 9720 9729 80MB /boot
/dev/sda5 2 801 6.4GB /
/dev/sda6 803 1602 6.4GB /root2
/dev/sda7 1603 1901 2.4GB Swap

sda5, sda6, sda3は全く同じサイズ(ブロック数)になっていて、相互にddコマンドでイメージコピーができるようになっている。実験用のPCとして便利だ。(ただし、この方法でパーティションの中身をコピーするのはUbuntuの場合うまく行かない。Ubuntuパーティションのマウントの時、デバイス名ではなくパーティションのUUIDを使ってマウントする。ddによるコピーはUUIDもコピーしてしまうので同じUUIDを持ったパーティションが2つ出来てしまうからだ。もし、この方法を使う場合は/etc/fstabを変更しデバイス名を指定するように変更する必要がある。)通常はHDDの最外周に配置されたsda5がルートファイルシステムとなる。基本的にはブート時しか使わない/bootのsda4はHDDの最内周にある。(参考:HDDの外側と内側

*1:Ubuntuでは標準でLVMは使ってないらしい(未確認)。Fedoraはデフォルトのインストールを行なうとLVMベースのファイルシステムを構築する。

CDからのインストール

CDからインストールに関しては特記することはないかと思う。CDからそのまま立上る。1280x1024の外部ディスプレを接続して立ち上げるとインストール用のUbuntuの画面サイズが1280x1024になり本体ディスプレ(1280x800)では下1/5が見えなくなるが、インストール作業には障害とならない。

  • デフォルト言語は英語にするので"English"を選択して"Install Ubuntu"を選択。インストールが始まる。
  • インストール用のUbuntuが立上ると再度デフォルト言語を聞いてい来るので"English"を選択。

  • タイムゾーンの設定は"Tokyo"を選択。Ubuntu 8.04から地域を選択するインタフェースが良くなった。

  • キーボードの選択は"Japan"から"Japan"を選択。("Japan - Kana"を選択すると使っているKVS(キーボード切替えスイッチ)との相性が悪く、切替える毎に強制的に「平仮名入力+Number Lock」の状態になってしまう。)


  • Ubuntuではrootでのログインを許していないので、ユーザを登録する必要がある。

  • 最後に確認のメッセージが出るので"Install"をクリックして、インストール開始となる。


大体、15分位でインストールは終了した。終了して再起動をしようとすると、Xウィンドウの画面を終了するが、外部ディスプレを接続していると、外部ディスプレへは信号無し、本体ディスプレはランダムな横線が入った灰色の画面となり、何とも状況が分からなくなる。CDがイジェクトされた段階で"Enter"キーを押せばリブートする。

なお、外部ディスプレ(私の場合は1280x1024)を接続した状態でUbuntuを起動すると、次のような画面になる。

Xウィンドウの画面サイズは1280x1024(つまり外部ディスプレの大きさ)だが、GNOMEのレイアウトは1280x800(つまり本体ディスプレの大きさ)になる。本体ディスプレには上4/5が表示される。本体ディスプレだけ見ていると違和感がないが、外部ディスプレを見ていると間の抜けた画面になってしまう。これは、この後、AMD(旧ATI)社のグラフィックドライバをインストールすることで解消する。

ソフトウェアの更新

外部ディスプレを見ながら作業すると間の抜けた状態だが、先ずはソフトウェアの更新をかける。Update Manager([System]⇒[Administration]⇒[Update Manager])を起動して"Check"をかける。

ただし、2004年4月29日現在、更新チェックが出来ない。エラーメッセージを見てみると"http://jp.archive.ubuntu.com/"からの応答がないらしい。調べてみると、このURLは"sb.itc.u-tokyo.ac.jp [133.11.205.121]"へリダイレクトしている。トップディレクトリにはアクセスできるが"http://sb.itc.u-tokyo.ac.jp/ubuntu/"にアクセスできない。Ubuntu 8.04がリリースされたので、トラフィックが集中しているのか、もしくは連休中のメンテ作業の影響か。しかし、いつまでも待てないので、"/etc/apt/sources.list"を手動で(vi等で)編集して"jp."の文字列を取除き(全部で14ヶ所)"http://archive.ubuntu.com/"から更新するように設定してから再度トライ。(もし、この方法を使う場合は、オリジナルのファイルはバックアップしておく。)
今度は問題なくスコスコと終わった。

fglrxドライバのインストール

次はビデオコントローラのドライバを換える。尚、以下の操作は上の"ソフトウェアの更新(Update Manager)"を動かした後でないと上手くいかない。
デフォルトではXorgRadeon用ドライバがインストールされているが、このドライバだとRadeon Xpress 1150の機能を十分使えない(し、外部ディスプレを接続すると不具合がおきる)ので、AMD(旧ATI)が提供しているドライバ、fglrxドライバにする。Hardware Drivers([System]⇒[Administration]⇒[Hardware Drivers])を起動する。

"ATI accelarated graphics driver"の有効にチェックする。ドライバのインストールが始まるので、終了するまで待って再起動のメッセージでリブートする。

(ここで、本体ディスプレが灰色画面になり、いつまで経ってもシステムが終了せずリブートしなかったが、ノートを一旦閉めたらリブートした。)

再起動するとfglrxドライバが有効になっているので、Windowの現れ方などの視覚効果が良くなっている。しかし、画面のサイズが本体液晶の1280x800になっているため、1280x1024の外部ディスプレを接続しても1024x800が間延びして表示されるだけである。画面の設定ツール([System]⇒[Preferences]⇒[Screen Resolution])でも変更できない。画面の最大値が1280x800になっているためだ。

これを修正するには、/etc/X11/xorg.confを修正する。xorg.confのScreenセクションに、次の様に3行追加する。
オリジナルの/etc/X11/xorg.confのScreenセクション:

Section "Screen"
	Identifier      "Default Screen"
	Monitor         "Configured Monitor"
	Device          "Configured Video Device"
	Defaultdepth    24
EndSection

修正した/etc/X11/xorg.confのScreenセクション:

Section "Screen"
	Identifier      "Default Screen"
	Monitor         "Configured Monitor"
	Device          "Configured Video Device"
	Defaultdepth    24
	SubSection "Display"
		Virtual   1280 1024
	EndSubSection
EndSection

xorg.confを修正したら一旦ログアウトする(つまりXサーバを立上げ直す)。今度は外部ディスプレに1280x1024が表示され、本体ディスプレにはその一部が表示される。マウスと移動すると、本体ディスプレの表示エリアも移動する。

外出先で外部ディスプレ無しで使う場合は、Screen Resolutionツールで1280x800に切替えて使えばいい。

無線LANドライバのインストール

ATIビデオコントローラドライバをインストールすると、今度は自動的に無線LANBroadcomのドライバも利用可能だというメッセージが出てくる。当面、Inspiron 1501で無線LANを使う予定はないが、メッセージが出るのもうっとおしいので、一応インストールしておく。
Hardware Drivers(メニューバーのアイコンもしくはメニューから[System]⇒[Administration]⇒[Hardware Drivers])を起動し、"Broadcom B43 wireless driver"の有効にチェックすると、インストールが始まる。

次のような確認メッセージがでる。「このソフトは無償だが、OSに合法的に同梱できないFirmwareが必要。Firewareが無いと動作しない。」これって....。

途中、メッセージが現れるので"Fetch and extract firmware?"にチェックしてからインストールを進める。Firmwareが無いと動かないらしいので。

これでBroadcomのドライバはインストールされたので、ハードウェアの更新メッセージは出なくなる。

手近にアクセスできるアクセスポイントがあったので試しに接続してみた。特に何の問題もなさそうだ。"nm-applet"(上のパネルの右側にある「ネットワーク」のアイコンのアプレット)を使って無線LANの制御(有効、無効、接続先の選別)できる。

また、nm-appletのメニューから接続状況も確認できる。

しかし、幾らなんでも802.11で1Mbpsというのにわかに信じがたく、回線速度測定サイトで計ったら3.6Mbpsは出ていた。(回線速度測定サイトの数字も正確ではないと思うが)取りあえず、nm-appletの接続状況のデータが正しく無さそうである。

SSHサーバのインストール

Fedoraなどでは外部からネットワーク経由でログインするために標準でSSHがインストールされているが、Ubuntu Desktopでは標準でインストールされなていないので、SSHを利用してアクセスする場合はインストールする必要がある。apt-getコマンドを使う。

$ sudo apt-get install openssh-server
[sudo] password for adsaria:
Reading package lists... Done
	:
Setting up openssh-server (1:4.7p1-8ubuntu1) ...
Creating SSH2 RSA key; this may take some time ...
Creating SSH2 DSA key; this may take some time ...
 * Restarting OpenBSD Secure Shell server sshd                           [ OK ]

$

これでSSHを使って外部からログインできる。

IPv6の抑制

以下の内容に関しては「UbuntuでIPv6を無効化」も参照のこと

IPv6は使う予定もないし、VMwareを使う際にはIPv6を停止(無効化)する方が望ましいとマニュアルに書いている。Fedoraの場合は、/etc/modprobe.confを変更するがUbuntuの場合は、では/etc/modprobe.d/blacklist の中に

blacklist ipv6

を追加して再起動すればOK(「Fedora で IPv6 をスマートに無効化」参照)。 次のコマンドで編集できる。

$ sudo gedit /etc/modprobe.d/blacklist

再起動の前後のでlsmodを実行してIPv6のモジュールがロードされているかどうかを確認するといい。

$ lsmod | grep ipv6

日本語環境を使えるようにする

デフォルト言語を日本語でインストールしている場合は必要ないが、私はデフォルト言語を英語でインストールしているので、そのままでは仮名漢字変換などが使えない。
Language Supportツール([System]⇒[Administration]⇒[Language Support])を使って日本サポートを追加する。サポート言語の一覧から"Japanese"のサポートをチェックし、更に"Input method"をチェックして"Apply"をクリックする。(デフォルト言語は英語のままにしておく。)

日本語サポートのインストールが終了すると再起動を促されるので、リブートする。リブート後は日本語変換エンジンのAnthyが使えるようになる。

その他の細かい設定

音を消す

Ubuntuのインストール時の設定だと、Inspiron 1501はもの凄い大きな音を出す。システム・ボリュームは60%程度なのに。特にノートは外で利用することもあるので、これでは恥ずかしい。それに究極のマシンは無音である(=無駄が無い)という私の哲学(?)にも反する。ということでシステムの音、ビープ音を消す。
ログイン時の音楽などのシステムの音は、上部パネルの右にある音量調整のアプレット(スピーカー印)で最小(無音)にしてしまう。"ブッ"というビープ音はSound Preferencesツール([System]⇒[Preferences]⇒[Sound])を起動し、"System Beep"タブで"Enable system beep"のチェックを外す。

rootでログインできるようにする

どうも不精なので、ついついsuを使ったりrootでログインしたくなる。しかし、Ubuntuは標準でrootのパスワードを潰してあるのでrootになれない。そこで、先ずsuの代わりに、

$ sudo bash

でrootとして作業できる。また、その状態で

# passwd

でrootのパスワードを設定できるので、以降、suコマンドでrootになれる。更に、Login Window Preferencesツール([System]⇒[Administration]⇒[Login Window])を起動して"Security"タブから"Allow local system administrator login"を有効にすればrootでログインも出来るようになる。

企業のシステムでは危険だが、個人で使うにはこちらの方が使いやすい。